オリンピックの年を迎えました。今年は日本中が国際色豊かな年になりそうです。まさに「ウエルカム・おいでやす・ワッソ」です。四天王寺ワッソは、30年前、大阪で生まれ、東アジア、とりわけ隣国韓国との友好を目指した市民の祭典です。
ワッソが人々に訴える内容は、歴史に基づく友好です。パレードは古代から始まります。高句麗(ピョンヤン)、百済(ソウル・公州・扶余)、新羅(慶州)、伽耶(釜山・大邱・金海)・耽羅(済州島)の使節が頻繁に来日しました。そして多くの皇族、官僚、技術者、芸術家の姿もありました。その頃、難波や住吉の港には各国のマークを付けた船も停泊していたのでしょう。まさに関西空港のようでした。プレゼントされたラクダやオウムなど、現在も動物園でしか見られない珍獣を難波の人々は身近に見た人もいたのでしょう。異文化との遭遇を再現したのがワッソです。民間と市民の力によって、「万博の日韓古代版」を先取りしていたのです。
だけど、昨年は、心斎橋・道頓堀・梅田界隈からハングルの話声が消えました。ソウルの明洞の人混から日本人が少なくなりました。本当に寂しい年でしたが、僅かに明るい陽射しが見えつつあります。オリンピックを契機として世界中が、なかでも日韓関係が親密な年となりますように。
令和2年元旦
NPO法人大阪ワッソ文化交流協会
理事長 猪熊兼勝